2023年末山行 仙丈ケ岳(3033m) 報告

2023年末山行 仙丈ケ岳(3033m) 報告
 
参加者:L西島、松澤、戸谷、西之園、木村
 
12月29日(金)  
(終日快晴、温暖)
06:00道の駅長谷集合
07:00仙流荘横登山者駐車場発
08:00戸台旧駐車場
12:45赤河原分岐
16:30北沢峠 長衛小屋 幕営
 
当初は地蔵尾根ルートで計画していたが、雪不足で水の確保が困難なため北沢峠ルートで検討。直前の状況によって流動的に対応できるよう準備し、当日集合して最終決定とした。どちらにしても冬の仙丈は初めてなので楽しみだった。個人的に少し誤算だったのは、戸台川原の駐車場に停められるものと思い込んでいたが、昨年の豪雨で駐車場は流失、そうでなくても仙流荘から先の車道は冬季通行止め。したがって仙流荘から歩き始めなければならなかった。ただでさえ長い河原歩きを覚悟していたのが、その前に1時間の車道歩きが加わった。駐車場には遭対協の補導所が開設されており入山のご挨拶。
豪雨災害で両岸が崩れ登山道はなく、石がごろごろして歩きにくい広大な河床を延々と進む。太陽が高くなっても深い谷底まではなかなか日が届かず、暑くもなく寒くもなく気温は快適。ただ重い荷物が肩にくる。いくつか堰堤を超え、オレンジテープを頼りに時々渡渉。丸太や岩の上を歩けたので濡れずに済んだ。鋸岳への分岐となる角兵衛沢や熊穴沢のあたりで初めて土の道に入り、やっと登山道らしくなったと思ったらまた寸断され河原へ。とほほ。林のあるところには熊のフンがぼとぼと。赤河原分岐でも河原がえぐれ、廃墟の丹渓山荘の裏を高巻きしなければならず、ロープの張られた危うい道を超えた。6時間以上歩いてきて、標高的にはまだ半分。
八丁坂に入るとジグザグの安定した登山道をぐんぐん上る。歩きやすい土の道でシラビソと苔の森に癒されて気分は軽くなる。視界が開け、対岸に藪沢大滝の氷瀑が見事。大平山荘に出る頃には日没との闘いとなった。
北沢峠にも雪はなく、長衛小屋テン場前の水場がスケートリンクと化していたのが本日一番の核心部だった。でもホースから水が流れていたのはありがたい。思いがけず小屋が営業しており、トイレ棟も使用可。テント代1人1泊1,000円也。在庫処分のためポカリスエット1人1本×2泊分のサービス付き。乾いた喉にうれしかった。松澤さんはビールをお買い上げ。
氷を避け、乾いた砂利の上にテントを設営。ちょっと複雑なモンベル5~6人用。5人でちょうど快適に過ごせた。いろんなお酒が登場してのにぎやかな夜宴、夕飯は肉野菜たっぷりの鍋でエネルギー充填。アルファ米は大容量で作るとふっくらおいしくなることが判明。
 
12月30日(土) 
(午前快晴、午後から下り坂、温暖)
04:00起床
06:00出発
10:00小仙丈ケ岳
12:00仙丈ケ岳
16:00テント帰着
 
朝は冷えてもー10℃までいかず、冬用シュラフは暑いぐらいだった。テント定着は楽でいい。支度を整え、まだ暗い中ヘッドランプをつけてアタック開始。2合目あたりから雪が現れ始めるが、凍結はなく歩きやすい。森林限界に出てアイゼン装着。小仙丈ケ岳に着くとカールの眺めがすばらしい。振り返ると甲斐駒ヶ岳の威容。既にほぼ山頂の気分だが、まだ先は長かった。稜線も雪は少なく夏道のトラバースを行く。雪の上に時折ライチョウの糞が転がっており、ハイマツの中に潜んでいる模様。
ぴったり正午に山頂到着。快晴で温かく風も弱くまるで3月頃の春山。青空に白い北アルプスの山並みがくっきり浮かび、果ては白山まで。均整の取れた富士山が秀麗。
下り始めて1時間後には薄雲が広がり、山頂までもってくれた好天に感謝。この日同ルートを歩いた登山者は他に単独男性3人のみ。テントは数張りあったが、明日の降水に備えて小屋へ移動した人も。
夜にはまた雲が取れて星が輝いていた。元天文部、西之園さんの星空解説☆
 
12月31日(日)
(雪のち曇りのち雨)
04:00起床
06:45テント撤収、下山開始
14:00仙流荘駐車場着
 
未明より降雪。みぞれに近い水っぽい雪。下山ルートは総意で林道コースを選択。念のためビーコン装着。予報通り早朝にしっかり降り、日中あがって夕方再び降り始める1日。歩き始める頃にはほぼやみ霧雨状に。
ほどよく積もった15cmくらいの湿雪が足にやさしく歩きやすい。しかし標高が下がるにつれシャーベットとなり、とうとうアスファルトが露出、続いてブラックアイスバーンの登場。表面に水が乗り、そっと立っているだけでも滑る。各自アイゼンかチェーンアイゼンを装着。トンネルの中には巨大なつらら。さらに標高が下がり、氷のゾーンが終わったと見えてアイゼンを外したものの再びアイスバーン出現。何kmにもわたって続き苦労した。上手くこらえた松澤さん以外、この日は全員が次々と滑って転倒。西島さんは額を打撲し裂傷を負ってしまい、応急手当。下山後念のため病院を受診し、幸い大事に至らず。木村は手の甲をぶつけていたようで少し腫れていた。凍結林道、恐るべし。
駐車場に着く頃から夕方の雨が降り始め、行動のタイミングはベストだった。遭対協は既に撤収。年末とは思えない、雪の少ない暖かで穏やかな山行になった。
伊那市のイラストマップによると、戸台大橋から北沢峠まで、河原コースは12km、林道コースは17km。+車道3km。どちらも長くてよく歩いた。仲間がいたのでよかったが、1人だったらメゲそう。アプローチが大変で人気ないせいか、混雑とは無縁の静かな山を味わうことができた。

Groupe Des Moraines

長野県長野市にある長野県山岳協会所属の山岳会グループ・ド・モレーヌ(Groupe Des Moraines)

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